クロトンアザミウマとアカオビアザミウマに対する薬剤の殺虫効果と効果的な防除

植物医師
藤原 聡

はじめに

前報では庭木ギンバイカに寄生する外来アザミウマ(クロトンアザミウマとアカオビアザミウマ)の生活様態について紹介した(1)。本報では、この成虫に対する薬剤の効果と春先の薬剤防除(2)について紹介する。

成虫に対する薬剤の効果

薬剤の殺虫効果試験は、表1の4剤を使用しておこなった。樹木類のアザミウマ類に適用のあるアセフェート水和剤の特徴は以下のとおりである。

【アセフェート水和剤(オルトラン水和剤)】
・ヨトウムシ、アオムシなどの食葉性害虫やアブラムシ、ヨコバイなどの吸汁性害虫に対する食毒効果に優れる。
・植物体内での浸透移行性が高い。

また、樹木類のアザミウマ類に対する適用はないものの、今後被害の発生が懸念される作物のアザミウマ類などに適用のある殺虫剤として選んだ3剤の特徴は以下のとおりである。

【MEP乳剤(スミチオン乳剤)】
・稲、果樹、野菜の各種害虫に対して接触作用、食毒作用を発揮する。
・浸達性があり、植物の体内に食入した害虫にも有効である。
【ペルメトリン乳剤(アディオン乳剤)】
・野菜のチョウ目、アブラムシ類、果樹のシンクイムシ類、アブラムシ類などに対する接触作用に優れる。
・速攻性と残効性を発揮する。
【クロチアニジン水溶剤(ダントツ水溶剤)】
・カメムシ目害虫、アザミウマ目害虫に加えて、ハエ目、チョウ目、コウチュウ目害虫に対して経口または経皮的に作用する。
・植物体内での浸透移行性が高い。

使用した薬剤の死虫率はすべて100%で、完全に殺虫できた(表1)。しかし、2024年12月現在、樹木類に寄生するアザミウマ類の防除を目的として使用できる殺虫剤は、アセフェート水和剤(オルトラン水和剤)のみである。同一の薬剤の過度な連用は、薬剤抵抗性のアザミウマを出現させるリスクがあるので、散布回数には注意する。

  • 表1. アザミウマ2種の雌成虫に対する各種薬剤の殺虫効果
    (引用文献2から一部改変)

越冬後の幼虫を対象にした春先の薬剤防除

外来アザミウマの生活様態と薬剤の殺虫効果試験の結果をふまえ、アセフェート水和剤を用いて春先に防除をおこなった。その結果、アザミウマの幼虫の発生は抑えられ、散布後1か月間程度はアザミウマの密度を抑えることができた(図1)。一方、薬剤を散布しなかった場合、アザミウマの成虫が発生したのち、次世代の幼虫も発生した。春先に防除しても防除しきれなかったアザミウマについては、その後、適期に防除し、発生量を抑える必要がある。同じアザミウマの一種であるチャノキイロアザミウマでは、千葉県のナシにおける防除対策として、比較的低密度で発育段階も揃った越冬世代から第2世代幼虫が発生する6月中旬頃までの薬剤散布が推奨されている(3)。

  • 図1. アセフェート水和剤の散布がアザミウマ2種の個体数の推移に及ぼす影響(A、Cにおける矢印はアセフェート水和剤の散布日)
    (引用文献2から一部改変)

おわりに

クロトンアザミウマやアカオビアザミウマがギンバイカのような庭木から農作物にも広がって、農業害虫として問題とならないよう、今後も繁殖力や加害の性質、農作物に被害が発生していないかどうかなどについて注意を払いたい。

引用文献

  1. 藤原聡 (2025) 「南方由来のアザミウマ2種の発生生態を探る」 i Plant 3 (2).
  2. 藤原聡 (2024) 「緑化樹木ギンバイカに寄生するクロトンアザミウマならびにアカオビアザミウマの発生生態,数種薬剤による殺虫効果および越冬世代に対する薬剤散布の防除効果」 茨城病虫研報63: 57-67.
  3. 千葉県・千葉県農林水産技術会議 (2013) 「ナシ葉を加害するチャノキイロアザミウマの生態と防除対策」
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ISSN 2758-5212 (online)